• 2016年度理事長所信 Message

    所信

    すべては市民・地域のために

    ~イノベーションを起こす思考を持って地域の未来を描こう~

    理事長 川上武

    -はじめに-

    2015理事長

    イチロー選手は「結果は後から付いてこない、結果は後からついてくるという感覚も多分持てないだろうし、持ちたくもない。しっかり結果を追い求めて、追いかけてそうしたい」と述べ、「結果は困難を伴って出すべきであるし、そうでないと出ない。」と結論付けています。また、私の心に残る言葉に『イノベーションを起こす人は、既存のアイデアを組み合わせることができる人である。決してゼロからつくり出すことが求められているわけではない。イノベーションは「何故こうなっているのか」、「どこに問題があるのか」といった核心の追求から生まれるのである。』とあります。本年の一般社団法人山鹿青年会議所はイノベーションを起こす思考を持って進み、その運動へのすべての判断基準は、「山鹿の市民・地域のためになるか否か」この一点を追求して事業展開していく所存です。

    現在の日本は、人口減少社会が始まっています。日本の将来像は、アベノミクス効果や2020年の東京オリンピック開催など近い未来には希望の持てるトピックスはありますが、人口減少に伴う市場規模の縮小を思い描くとき、日本の長期的な見通しは楽観視出来ません。地方創生が国の政策として取り上げられているということは、地方の活性化、生き残りが厳しい時代が目前に迫っていることを表しています。このような中で我々一般社団法人山鹿青年会議所は本年、認承45周年創立50周年の節目の年を迎えます。創立から数えると半世紀、これまで先輩諸兄姉は山鹿地域の「明るい豊かな社会の実現」に向け、その時々の地域が抱える課題に真摯に取り組み、議論を重ね、その解決に向け先頭に立って挑戦されてきました。その姿は我々が事業などの様々な機会に纏っている法被の背中に「魁」の一字となって受け継がれています。その「魁」の精神を継承し、今の時代を生きる我々がイノベーションを起こす思考を持って、この地域の様々な課題に挑戦して、明るい豊かな未来を描いてまいります。

    先述のイチロー選手は、「結果がでない時に、どういう自分でいられるかが大きい。苦しいけど、頑張るというのは大事なことだと思います。」と残しています。我々の大きな目的である『明るい豊かな社会の実現』に向けて、仲間たちと議論を重ね、今のこの地域にはこれが必要だと確信する事業を構築してまいります。この道程には困難が待ち受けているかも知れませんが、困難にぶつかったときに安易に方向転換していては何も達成出来ません。何かを成し遂げようと思うのであれば、唯ひたすら努力し続けるのみです。本年の一般社団法人山鹿青年会議所は、一丸となって市民・地域のために邁進してまいります。

    市民・地域のためのまつり

    一般社団法人山鹿青年会議所は、市民・地域にとってお祭りなどに見られる伝統文化の伝承は非常に重要であると捉えており、地域のまつりに参画してまいりました。特に山鹿燈籠まつりに関しては毎年、大宮神社の前でイベント広場の運営を行い、祭りの本義である上がり燈籠の発信を行ってまいりました。他にも女性だけの奉納団体である燈心会設立への参画など様々な手法で山鹿燈籠まつりの活性化に取り組んできております。しかしながら、山鹿燈籠まつりの現状は、上がり燈籠の担ぎ手不足など依然として多くの課題を抱えております。このような中で異業種の集まりである我々青年会議所の特性を活かして、市民・地域のために出来ることは何かと考えるとき、燈心会設立の中に大きな可能性を見出せると考えます。

    イノベーションとは「革新的な何かを生み出すこと自体」ではない、自分だけが考えていたことを、みんなが当たり前のようにやりはじめたら、ほんの少しだけど世界が変わった。これがイノベーションだと考えます。燈心会は山鹿燈籠まつり初の女性だけの奉納団体であり、ほんの少しかもしれませんが世界が変わったのです。このように様々な業種の集まりである我々は、様々なニーズ、アイデアを組み合わせ、その懸け橋になる使命を持った団体であり、そこにこそ我々の特性が最大限に発揮出来るものと考えます。

    一般社団法人山鹿青年会議所は市民・地域のために、様々なマッチングを模索し、これまでの伝統文化を守って来てくださった世代とそれを継承していく世代の懸け橋になってまいります。過去から連綿と続く伝統文化の歴史を未来へ繋ぐために、新しい価値を創造して市民がもっと地域を好きになる事業を行ってまいります。

    次世代を担う市民のために

    簡単にネット上でコミュニケーションが図れる現代の情報化社会において今後、最重要視されるのは「ひと対ひと」のコミュニケーション能力ではないでしょうか。現代社会において子どもたちの現状は、全国的には文部科学省中央教育審議会の報告から見ると、様々な要因から家庭や地域における教育力が低下していること、学習意欲の低下や、基本的な生活習慣が身についていないこと、自然体験等の体験活動や読書活動の不足、学力や体力、コミュニケーション能力の低下など多くの課題が指摘されています。山鹿市においては、日本一の学園都市「やまが」に向けて教育に力を入れられており、熊本県下で最も低い不登校生の出現率やあいさつ運動の推進、全国学力テストにおいての好成績など非常に良好に感じます。民間団体である我々一般社団法人山鹿青年会議所が、地域の宝であり、次世代を担う子ども達のために出来ることは、学校区の枠を飛び越えた、感動と喜びを分かち合えるような体験、出会いの創造であると考えます。

    我々が住み暮らす山鹿地域は、装飾古墳数が日本一であります。この地域の自然が古代より豊潤で多くの命を育んでいた証の一つです。また、歴史的建造物も数多く点在しています。我々の先輩方が復興に尽力された八千代座もその一つです。本年は次世代を担う子ども達が「ひと対ひと」のコミュニケーション能力を磨くことが出来るとともに、山鹿の地域資源を、イノベーションを起こす思考を持って活用し、地域への誇りを持ってもらうことや地元をもっと好きになってもらえるように努めます。子ども達が元気に笑顔で、ひととひとの触れ合いの中で多くのことを学べる事業を行ってまいります。

    認承45周年創立50周年を迎えて

    2016年に一般社団法人山鹿青年会議所は認承45周年創立50周年を迎えます。これまでの歴史の中で先輩諸兄姉の築き上げられた多くの功績があります。その一つひとつが現在の一般社団法人山鹿青年会議所の財産であり、この地域の未来を照らす灯(ともしび)になっています。その先輩方の運動によって輝いた地域の灯(ともしび)を絶やさぬように、これまで以上に輝かせ次世代に繋いで行くことは我々の責務であります。

    まずは、認承40周年代テーマとして掲げられた「文化を通して地元を愛する人を育てる」を基にしたこれまでの5年間の検証・総括をするとともに、我々にご支援ご協力を頂きました先輩諸兄姉や市民の皆様方に感謝の思いをお伝えし、恩返しが出来るようにします。また、今後5年間の我々の進むべき道を再考して「文化を通して地元を愛する人を育てる」ことが、山鹿地域にどのような新しい価値、イノベーションを起していけるかを市民の皆様と共に考え、共有できる事業を開催します。

    第49回熊本ブロック大会について

    公益社団法人日本青年会議所九州地区2016年度熊本ブロック協議会の第49回熊本ブロック大会を12年ぶりに我々一般社団法人山鹿青年会議所が主管して開催いたします。この熊本ブロック大会は県内各地の青年会議所メンバーが一堂に会して開催されるものであり、熊本県の青年会議所の最大の運動発信の場であります。この機会を有意義なものにするために、全メンバーで心を一つにし、熊本ブロック協議会と手を取り合って大会を大成功に導きます。

    先輩諸兄姉や市民の皆様にご協力を仰ぎながら、県内各地からご参集いただくJCメンバーに向けて、我々の伝統でもあります、おもてなしの心を持ってお迎えし、有意義で、忘れられない思い出に残る大会にします。また、山鹿の地域・市民の皆様には、公益社団法人日本青年会議所が発信する運動によって日本の地方・地域が抱える様々な課題に対する理解や気付きを、様々なアプローチで提供します。山鹿に元気な若人が集う、元気な地域の姿を示すことの出来る大会にしてまいります。

    市民・地域のために動ける組織

    我々一般社団法人山鹿青年会議所は市民・地域のために動ける組織でなくてはならないと考えます。「青年会議所は名前にもあるように会議をするところだよ」と言われたことがあります。青年会議所は会議で議論を重ね、慎重な審議を経なければ行動を起こしません。どんなに市民・地域のために良いと思っても、思い付きだけでは実行できません。しっかりとした根拠に基づいた資料、議案を作成しなければ動けません。そのためには自分の信じる事業、議案を青年としての英知と勇気と情熱をもって磨き上げる必要があるのです。市民・地域のために動ける組織であるために、我々の基礎ともいうべき会議の運営力、議案作成力の強化に努めます。

    また、この組織が動ける活性化された組織であるためには血液の循環、すなわち新たな同志の加入も不可欠です。本年の会員拡大はメンバー全員の使命と捉え努めてまいります。またその本質は、綱領に「志を同じうするもの相集い力を合わせ」とあるように、まずは我々一般社団法人山鹿青年会議所メンバーが力を合わせて志を示します。志を示す機会とは何か、我々が信じる事業が一番であると考えます。地域、市民を思い行動を起こす事業に地域の青年たちの協力を募り、共感の輪を拡げてまいります。そして、「志を同じうする」ためには、この地域で住み暮らす責任世代と呼ばれる同世代と交流を図り、意見交換することも重要であると考えます。志を示し、「志を同じうするもの」が相集える会員拡大事業を行ってまいります。

    最後に

    若いころに役者の道を志したことがありました。ずいぶん親不孝を重ねて恥ずかしい思いもありますが、芸術の道の難しさ、厳しさを味わえたことは非常に大きな経験になりました。芸術家と呼ばれる方々の大多数は、経済的にはこの世の中から必要とされていない存在です。フィンセント・ファン・ゴッホのような偉大な画家でさえ生前に売れた絵は一枚だけでした。それでも彼らは自分の信じる美・価値を純粋に追求して生きています。当時の仲間の大半は芸術の道を諦めました。現役で芸術の道に身を投じている仲間の近況を聞くたびに彼らを尊敬しますし、その道の厳しさを改めて感じます。その時期に芸術家の師匠と仰いでいた方から何度も言われていたことは「世界中で誰も見たことのない新しい何か、君にしか生み出せない何かを、絶対に付加しなければいけない。先達たちの模倣なら誰でもできるし、その先達たちに勝てる日は来ない。」でした。この思想は今も深く私の胸に刻まれています。芸術家たちのほんの一握りかもしれませんが、世界が称賛する芸術を世に送り出す人たちがいます。それはほんの少しかもしれませんが世界を変えていると感じます。物事の本質、核心の追求からイノベーションが生まれているのだと考えます。

    2007年に芸術の道で挫折を味わい、帰京して間もないころ、同業種の先輩に誘って頂いたのが入会のきっかけでした。山鹿地域のことは少年時代の思い出しかなく、知り合いも同級生ぐらいしかいない、本当に右も左もわからない自分でしたが、青年会議所の中で教わった先輩方からの教えや後輩の頑張っている姿に感化され、自分の生き方に少しだけ光明が見出せてきたように思います。この地域を思う心や自分の生きていく意識を少しずつ変えて頂くことが出来たのはこの青年会議所のおかげであると感謝しております。青年会議所は意識変革団体であるとよく言われますが、自己中心的であった私自身の意識は変革され、自分の仕事にもプライベートの生活にも大きな影響を与えています。このご恩を市民・地域のためにお返ししたいと考えたときに『すべては市民・地域のために』という姿勢で核心の追求に臨む他ないと考えました。

    刻々と変化する時代の中で、変化を恐れることはすなわち停滞、さらには後退を招くと考えます。今を生きる我々に課せられた使命は何かと考えるとき、先輩諸兄姉が築いて下さった価値の上に、新たな捉え方、新たな視点、新たな価値を付加すること、すなわちイノベーションを起こす思考を持って市民の皆様に我らの信じる明るい未来を示し、共に見出していくことだと確信します。『すべては市民・地域のために』この価値基準を持って本年の一般社団法人山鹿青年会議所は挑戦し続けます。1年間どうぞよろしくお願いいたします。