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2024年度理事長所信 Message
所信
相互扶助
~支えあいと自己成長が強い組織を創る~
第59代理事長 堀 晃祐
-はじめに-
青年会議所の事業を行うにあたり、一人ではどうしようもなくなることがあり、誰かの力を借りないと解決が難しいことがあります。私自身もこれまで多くの人から支えられ、活動をしてきました。しかし、誰かに頼ること、力を貸してもらうことは、非常に難しいことです。私も初めて役職を受けたとき、人に頼ることが出来ませんでした。それは、他人に自分の考えを伝え、活動を共にすることは一人でやるより大変だったからです。そんな中、一人の力には限界があることに気付き、他の人に力を借りるためには自分の姿を認めてもらうことが大切であると考えるようになりました。他の会員に自分の考えを伝え、理解してもらい活動を共にすることで初めて本質である青年会議所活動ができたと感じることが出来ました。誰かを支えようと考えても、何がその人の支えなのかは分かりませんが、相手が何をしようとしているのかを考え「協力しよう」という意識と、その行動に対して「ありがたい」と感謝する気持ちが織りあってはじめて構築される「相互扶助」の関係こそが、支え合える組織を創るうえで大切になると考えます。
-伝統を継承し、活気あるまつりを-
山鹿青年会議所は大宮神社の神事である上がり燈籠に参加し奉納してきました。上がり燈籠の起源は、景行天皇が九州巡幸の際、進路を見失ったところ地元住民が松明を灯し、お導きした先が今の大宮神社であり、松明がのちに燈籠となり奉納されました。昨今では、千人燈籠踊りや花火といった祭りイベントが取り上げられることが多くなっていますが、燈籠まつりは本来神事として日頃の感謝とこれからの益々の平安・弥栄が祈られる祭りです。九州には多くの神事を起源とするお祭りが存在し、博多山笠、佐賀の唐津くんち等でも山車を担ぎ神様に奉納をしております。私も幼少期に山笠の山(やま)を担ぎ路上を歩く姿に憧れを感じました。しかし、山鹿燈籠まつりの上がり燈籠は、奉納の時間が遅く子供たちが目にすることは出来ません。SNS などで簡単に映像として上がり燈籠を見ることができても、現地の雰囲気を子供たちに感じさせることが大切ではないかと思います。歴史の伝承は、単に言い伝えや、読み聞かせだけではなく、これからの子供達がいつかこの山車を自分たちが担ぎたいと憧れを抱くことが参加意欲に繋がると考えます。参加意欲の醸成こそが歴史への学びを深め、日頃の感謝の心を後世への伝承に繋げることが出来ると考えます。
-発想力と自由な未来を想像できる子供の育成-
今の子供たちは「デジタルネイティブ」と呼ばれ、幼少期からインターネットが当たり前にあり、デジタル機器などが身近な環境で育ってきています。インターネットの進化と同時に、コミュニケーションの手法も大きく変わってきており、SNS やゲームでコミュニケーションを取る子供たちが増えているのが現状ではないでしょうか。私は、このデジタルネイティブな環境の中で、子供たちがデジタルだけでなくリアルな経験をする事も必要であると考えます。私の子供時代は、空き缶一つで自由に何時間も遊べていた経験があり、その中でルールや決まり事を作り遊んでいました。それらの経験が自由な発想力を持った今の自分を作っていると思っています。新たに生まれたデジタルの世界と、私たち世代が子供の頃に得た体験を知っていただくことで、幅広い選択肢が子供たちに生まれるのではないかと考えます。
-地域に仲間の輪を広め、共に成長できる人材育成-
青年会議所はどんな活動をしているの?青年会議所の事を友人や知人に話すと、よく聞かれます。青年会議所の認知は決して高いものではありません。会員拡大をするにあたり、まず20 歳から40 歳までの青年への認知度を上げることが大切だと考えます。インターネットの情報や噂話だけで青年会議所の事を知ってもらうのではなく、こんなにも地域の事を真剣に考えて活動をしている団体だということを知ってもらうための広報活動に力をいれてまいります。
また、能動的に活動できる人材を増やしていきたいと考えます。青年会議所には成長の機会が多くありますが、その機会は自分から掴みにいかないと手にすることが出来ません。一歩踏み出すことは簡単な事ではないかもしれませんが、山鹿青年会議所メンバーは成長を共にする仲間です。活動を通じて共に、一歩先の世界へ飛躍してほしいと考えます。
-ゆるぎない組織の形成-
青年会議所が事業を開催するまでに、会議の中で何度も議論し計画をたてていきます。また、会員が月に一度集まり情報を共有する大切な場が例会です。その例会や会議が円滑に執り行われるために、最も大事なことは連絡・準備・設営です。組織の下支えとして、当たり前の事を当たり前に執り行える組織を目指し組織運営を行ってまいります。
さらに、SNS を活用し会員にむけて正確かつ迅速に情報を発信します。いつ・どこで・何が行われているのかを全会員が把握し、活動に参加をする当事者意識を持ってもらうことが大切です。まずは会員同士のコミュニケーションを円滑にし、入会したことで仲間となれた縁を大事にしてほしいと思います。
-結びに-
私は学生時代に野球を中心に生活を送ってきました。勝負の世界に身を置き、勝ち負けですべてを判断する環境の中で、上下関係の厳しさや、忍耐力は鍛えることが出来ても、奉仕の心や誰かの為にという考えは希薄で、まずは自分がという気持ちで生活を送っていました。山鹿に仕事の都合で移住し、山鹿を仕事の場所としてしか思っていなかったとき、山鹿で出会った先輩方の誘いで青年会議所に入会することになりました。入会して本気でまちづくり、ひとづくりの事を考え、活動をするメンバーを見て尊敬と憧れを抱き、自分も何かできないか、役に立てないかと思うようになりました。損得ではなく人の為に活動が出来る山鹿青年会議所が今の私を作ってくれたと思います。ある先輩から「青年会議所は、最後に残るものは人」だと教わりました。40 歳で卒業する青年会議所では、組織の繋がりが無くなった時、残るものは同じ時間を共に過ごし信頼を構築した唯一無二の関係だけだと思います。今年度は、一人ひとりが互いを思いやり、支え合いの中から自己成長に繋げることで、真に強い組織を創ってまいります。