• 2021年度理事長所信 Message

    所信

    拓く~自らが輝き、地域の太陽となれ~

    第56代理事長 小坂 拓人

    第56代理事長

    -はじめに-

     日出ずる国、日本。聖徳太子が隋に派遣をしたときの書簡に「日出る国から日沈む国に書簡をおくります」と書いたそうです。遠い遠い飛鳥時代から、大国を相手にひるむことなく、気概と矜持とを持ち、新たな知見を得るために先人たちは海を越え、果敢に道を切り拓き続けてきました。青年会議所の活動は常に先駆けの精神を持ち、新しい分野への開拓や問題提起を進めてきました。それらの活動は、地域のために行うボランティアではなく、正に明るい豊かな社会の実現を目指した運動なのです。団体としての活動は、それらの運動が地域へ貢献をしていると自負していますが、会員にとって青年会議所は何のためにある団体なのでしょうか。それは、青年会議所の三信条「修練・奉仕・友情」を得る場であり、誤解を恐れずに言うと会員自身のためであると私は考えます。「情けは人の為ならず」という言葉があります。青年会議所の活動を決して「情け」と呼んでいるのではありません。人の為にやったことは必ず自分に返ってくるからこそ、まずは「自分の為」に活動をやってみる、それが結果として自分の経験となり、成長への大きな糧となります。新しいものを生み出す時や、道を切り拓く時には必ず多くの困難に直面します。それらを乗り越えた先の光を会員と共に目指します。自らが輝き「太陽」のような人間になることで初めて周りを、地域を、そして世界を照らす。そんな仲間を一人でも増やしたい。それを2021年度山鹿青年会議所の確固たるテーマとして活動をしてまいります。

    -50周年を迎えて-

     当会は本年50周年を迎えます。50年という長きに渡り山鹿青年会議所が歴史を紡ぎ、地域に根差した活動をしてきたことは、正に先輩諸兄姉の情熱と努力の賜物であり、立ち上げからこれまでの活動は尊敬の念に堪えません。私事になりますが、私が入会した2006年は、山鹿青年会議所は35周年の年でした。その年の10月度例会に初めて参加し、当時の中野理事長にバッジを付けていただいたことは今でも鮮明に覚えています。入会して1年が経過したあたりで、多くの「機会」をいただくようになり、人の前で話をすること、事業計画を作ること、人と交流すること等様々な機会を提供していただきました。青年会議所では、「機会」を与えられます。役職者は機会の提供をすることが求められ、提供を受けた会員は機会を積極的に掴むことが求められます。両者が噛み合うことで青年会議所という団体は大きな力を発揮し、会員にとっても地域にとっても魅力ある団体へと昇華することができると確信します。本年の50周年事業は、会員に「機会」を提供するまたとない場でもあります。50周年という機会を我々に与えていただいた先輩諸兄姉に恥じることのないよう、存分に活用させていただきます。山鹿青年会議所が次の50年も輝き、地域を照らし続けることができる団体であるために、これまでの感謝を伝え、これからのビジョンを示すことのできる事業を展開してまいります。

    -山鹿灯籠まつりについて-

     コロナ禍に見舞われた昨年の山鹿燈籠まつりは、全イベントが中止となり山鹿青年会議所が例年行っていた事業も大幅に縮小をせざるを得ず、毎年行ってきた上がり燈籠の啓蒙活動も大幅に縮小された内容での実施となりました。一方で、中止となったことにより、これまでの手法や慣習に囚われずに新しい考え方や発想が生まれてきたようにも思います。祭というと、つい花火大会、屋台など楽しい催事を思い浮かべてしまうなど、本来であれば神をまつる儀式であるものを、宗教への関心の薄れなどから、あくまで祭祀に伴う賑やかな行事を祭と認識されてはいないでしょうか。しかし、祭という文化と伝統を伝承するために知恵を絞り、多くの人に関心を持ってもらうために今のようなイベント文化になっていることも事実です。特に、若い世代にはイベント事を通じて感じること、きっかけになることは多くあるはずです。 幼少期・少年期・青年期で祭の楽しみや意味合いは大きく変わってくるでしょう。だからこそ、山鹿燈籠まつりという舞台を存分に活用し、「本来の祭」とはどういうものなのかをしっかりと伝えつつも、積極的に祭を盛り上げたいと思ってもらえる市民を一人でも増やせるような事業の構築が必要であると考えます。長年続けてきた上がり燈籠の啓蒙活動を継続しながら、新しい時代に合わせた手法も取り入れ、これからの山鹿を背負っていくであろう青少年世代へ繋いでいく事業を展開してまいります。

    -組織の在り方について-

     青年会議所活動の根底には「楽しい」ことが必要であると思います。しかし、役を受け責任のある立場になると、会議とルールに縛られ、理不尽なことにも晒され、多くの挫折や苦しみがあることは事実です。 私もこれまで多くの役を受けさせていただきましたが、正直に言うと役職者の時は、役を全うすることに精一杯だったように思います。正に「修練」の真っただ中にいたわけです。しかし、その修練が結果として奉仕になったり、友情に繋がったりしたことも事実です。修練の間は、何度も投げ出そうとしたこともあります。多少の犠牲も払ったようにも思います。しかし、それらを乗り切った後に得たものの多くは間違いなく「楽しい」に繋がり、それに伴う経験と友情は今でも大きな財産になっていると確信します。だからこそ、会員には「楽しい」を積み重ねてもらうことを推進してまいります。「楽しい」とは、単に飲み会をしたり、交流を重ねたりするだけでは得られないと考えます。会の運営と事業を通して得られる「楽しい」を実感していただくためには、「伝達力」を強化していく必要があると考えます。「楽しい」の裏側には、必ず誰かの苦悩や努力がありそれらが作られているということも忘れてはいけません。伝達するということは、単にお知らせや案内だけではなく、経験や実践したことを継承、伝達していくことが必要です。近年ではインターネット環境やSNSの進化に伴い、一昔前に比べると格段にコミュニケーションを取りやすくなっています。ネットとリアルを駆使し、内外に向けた伝達力を磨くことが組織力の強化へ繋がると確信します。

    -最後に-

     常に世界は変化し続けています。青年会議所も時代に合わせて変わりながら歴史を紡いできました。古き良き青年会議所を残しながら、変わるべきことは変えるという強い信念をもって青年会議所という何物にも代えがたい組織を飛躍させるために、自らが輝けるJAYCEEの育成をしてまいります。魁の精神をもって自らが拓いた道には、必ず追随する者が現れ、そしてまた新たな別の道が拓けていきます。この、道を切り拓く我々のことは誰にも止めることはできません。一人でも多くの「太陽」を生みだし、持続可能で地域を恒久的に照らすことができる山鹿青年会議所を実現します。